A02_ADVENTURE_Solid 大規模応力解析(1)

今回はADVENTURE_Solidを使った大規模応力解析例を紹介します。
計算の目的は、一般的に売られているWork Station一台で、どれ位の規模の計算が可能か検証することです。
用意したのは、HP Z800 2CPU (計12コア)96GBメモリ搭載Work Stationです。
Work Stationでは、ハイエンドの部類になります。
OSは64bit OpenSUSEにOpenMPIを組み込み、並列計算を可能としています。
結果表示はParaViewです。
解析モデルは、ADVENTURE プロジェクト HPからダウンロード可能なPantheon宮殿CADモデルを使いました。
データはcm単位で作られており、建造物の実高さは約44m、宮殿外径は約54mほどもある、りっぱな大型建造物です。
このデータをBaseDistance = 26.0でメッシュ作成すると、要素数10,436,350、接点数14,829,907、4449万自由度のメッシュデータが出来上がります。
このメッシュデータで、建造物自重による静弾性解析を行います。
12コアのOpenMPI並列計算で、以下のような状況で計算完了しました。
使用メモリ : 96GBメモリをOS込みで、ほぼ使いきっています。
計算時間  : 10374秒 (SolidによるFEM計算時間)。約54時間です。
以下が計算された結果のParaView表示になります。
Clipboard01
計算は何ら不安気なく終了しWork Station、ADVENTURE_Solidの頑丈さが実感できました。
4000万自由度規模のFEM計算は、十数年前まではメインフレーム、スーパーコンピューターでしか達成できなかった計算であり、技術の進歩にも驚かされます。
もう一点注目いただきたいことは、CADソフト、データーコンバーター以外は、全てフリープログラムで構成されていることです。
ここまで出来ると、ADVENTUREソフトを、ただの教育用ソフトと捉えるには勿体なさすぎます。
なおPantheonモデルを使った大規模計算は、動解析なども行っており、順次紹介してゆきたいと思います。
次回はADVENTUREで採用されている無単位系について、説明します。