S74計算力学固体2級標準問題集第9版調査_2章0.2%耐力

問2-5の0.2%耐力について調査をしました。

標準問題集第9版の解説では

アルミニウム合金、銅合金などでは、明確な降伏点を示さず、図のような応力-歪曲線となる。この場合、一定の永久歪(例えば0.2%)が生じる応力F:耐力(0.2%耐力)を降伏点の代わりに用いる。

(1)「演習形式 材料力学入門」,寺崎俊夫,1992,共立出版.

耐力(proof stress) (0.2%) σ0.2 塑性歪εpが0.2%になる応力のことで、降伏点を明瞭に示さない材料の降伏強さとして使用される。

(2)「塾長秘伝 有限要素法の学び方!―設計現場に必要なCAEの基礎知識」,CAE懇話会関西解析塾テキスト編集グループ,2011,日刊工業新聞社.p138

アルミのように明確な降伏応力が表れない場合は、降伏応力の代わりに0.2%耐力(荷重を除いた時の永久歪が0.2%となるときの応力)を用いる事が多い。

(3)「理論と実務がつながる 実践有限要素法シミュレーション―汎用コードで正しい結果を得るための実践的知識」泉聡志,酒井信介,2010,森北出版.

アルミニウム合金やクロムモリブデン鋼は、図B.4のように明確な降伏点を示さない。その場合、塑性ひずみが0.002となった場合の応力(0.2%耐力)を降伏応力として用いる。

(4)「強度設計のミスをなくす CAEのための材料力学」遠田治正,2015,日刊工業新聞社.

弾性域と塑性域の境目は、ごく少数の材料以外では明確に分からない。それだと設計に困る事も有るので、工業的には境目を「0.2%塑性歪発生応力」と定義し、これを耐力σyと呼んでいる。耐力の値を求めるには、わざわざ除荷する必要は無く、引張力を負荷し続けて応力-歪線図を描かせた後、0.2%塑性歪の位置から弾性域の直線に平行な直線を引いて、交点の応力を求めれば良い。

耐力σy = 0.2%塑性歪発生荷重/初期断面積

(5)「図解 設計技術者のための有限要素法はじめの一歩 」栗崎彰,2012,講談社.pp65-66.

よって、非鉄金属材料のように降伏点を持たない材料の降伏点は、永久歪が0.2%(0.002)になる部分を降伏点として、強度検討の基準応力とします。

樹脂材料も降伏点が有りません。よって0.2%の永久歪を降伏点とするのは、非鉄金属材料と同様です。

(6)Wikipedia英語版Yieldの項

Offset yield point (proof stress)
When a yield point is not easily defined based on the shape of the stress-strain curve an offset yield point is arbitrarily defined. The value for this is commonly set at 0.1 or 0.2% plastic strain. The offset value is given as a subscript, e.g., Rp0.2=310 MPa. High strength steel and aluminum alloys do not exhibit a yield point, so this offset yield point is used on these materials.

オフセット降伏点(耐力)
降伏点を容易に応力 – ひずみ曲線の形状に基づいて定義されていない時に、オフセット降伏点は、任意に定義されています。この値は、一般的に0.1または0.2%の塑性ひずみに設定されている。オフセット値は、下付き文字として指定され、例えば、Rp0.2=310 MPaである。高強度鋼及びアルミニウム合金は、降伏点を示さないので、このオフセット降伏点は、これらの材料に使用されている。