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A10_丸棒の引張解析:ADVENTURE_on_Windowsを使用

今回のテーマは

(1)円柱メッシュがどのくらい綺麗に切れるか。正36角形で近似しました。
(2)解の検証。真円との比較。又正36角形理論値との比較。
(3)反力の検証。真円との比較。又正36角形理論値との比較。
(4)設計的にはどう考えるかの検討。
形状作成から解析完了に要した時間は約15分です。

モデルはADVENTURE_CADで作成します。
形状記述ファイルの拡張子はgm3dです。
メモ帳でも良いですが、私はフリーのsakuraエディタを愛用しています。

寸法

半径:5mm
高さ:30mm
断面:正36角形


単位系
1行目の最初の3つの数字は円の中心座標、2番目の3つの数字が半径のベクトル、3番目の3つの数字が円の法線ベクトルです。2行目は押し出しを記述しており、押し出し量をベクトルで与えています。
長さ:mm
力:N
メッシュ条件
基本節点間隔=1.0(一様メッシュ)
メッシュ作成時に表面形状を補正:Yes
二次要素
21027節点、13870要素
体積は2,341mm3(この数値は弊社無償ソフトウェアMeshmanViewerで調べました)

(真円なら3.1416*5*5*30=2,356.2mm3)。

図-0 メッシュ

材料条件


ヤング率:205,800MPa
ボアソン比:0.3

表面のエッジ抽出オプション

デフォールト

拘束条件

図 -1 拘束面

図-2 拘束条件

図-3  荷重負荷面

図-4 荷重条件

図-5 境界条件一覧

出力項目

可能な物全て

領域分割とソルバーオプション

デフォールト

結果

図-6 変形拡大率5000倍、X変位(max 9.82e-5mm)

図-7 変形拡大率5000倍、Y変位(max 9.53e-5mm)

図-8 変形拡大率5000倍、Z変位(max 0.00143mm)

図-9 変形拡大率5000倍、σzz応力(値はフルレンジ:8.4~17.8MPa)

図-10 変形拡大率5000倍、σzz応力(レンジ9.6~10.0:max 17.8MPa)

図-11 変形拡大率5000倍、σzz応力(値はフルレンジ4.88~13.5MPa)

図-12 変形拡大率5000倍、Mises応力(レンジ9.6~10.0:max 13.5MPa)

図-13 変形拡大率5000倍、最大主応力(値はフルレンジ8.40~19.9MPa)

図-14 変形拡大率5000倍、最大主応力(レンジ9.60~10.0MPa:max19.9MPa)

ここから6/16に追記。

解析ケースを例えばr5h30cylinder_36gonという名前で保存すると、

r5h30cylinder_36gon.iagというファイルと
r5h30cylinder_36gon.filesというフォルダ

がセットで作成されます。.iagはバイナリファイルなので、エディタ等で中身を表示する事は出来ません。.filesのフォルダには、AdvOnWinがこっそり作成した全ての中間ファイルが全部保存されます。

最後に反力を計算します。この計算を可能にする為には、解析時に「反力」を出力項目として予め指定しておく必要が有ります。形状定義で円柱を正36角形で近似した為、又メッシュが完全に正36角柱とは限らない為、所定の荷重の強さを与えても、断面積の誤差により総荷重が意図した物と異なるからです。とここ迄書いて、本来は設計荷重は荷重の強さでは無く、総荷重で与えるべきだと気づきました。

ADVENTURE_on_Windows(以下AdvOnWin)のインストールフォルダの下に

runBCAgent.bat

と言うMicrosoftバッチファイルが有りますので、それをダブルクリックします。

図-15 BCAgent起動直後

メニュー項目で、

ファイル(F)>*.pchと*.pcgを開く(O)

保存した解析ケースの.filesフォルダの中の

Solid_2.0.pch

Solid_2.0.pcg

を順に開きます。ここで、2.0の部分は境界条件設定開始時のダイアログで入力したパラメータと同じ数字となります(デフォールトなら2.0で可)。するとモデルが表示されるので、拘束した面を選択します(緑色)。

図-16 BCAgentで表示した解析モデル(拘束面を選択中)

メニューで、

情報(I)>面情報(F)

を選択すると、2つのファイルを選択するように求めるので、同じフォルダの
Solid.msh
Solid_2.0.fgr(2.0の部分は適宜読み替えて下さい)

を順に選択して下さい。すると図-17のように表示されます。左の列には上から0始まりで全ての節点番号が並びます。右の列には、今選択した面上の節点なら1、そうでなければ0が書かれています。

Ctrl-A Ctrl-Cで全データをクリップボードにコピーしておきます。

図-17 選択面の節点リスト

一方、反力を出力項目として指定していれば、保存したフォルダの中にReactionForce.datというファイルが存在します。これはテキストファイルであり、極簡単に説明すると各行に各節点の反力3成分が並んでいます。

このファイルをMicrosoftエクセルで開きます。別にLib reOfficeでも構いませんが、以降の説明はエクセルの場合です。

  1. Excel起動
  2. 保存した解析ケースフォルダのReactionForce.datを開く(ファイルを開くダイアログにおいて、全てのファイルを開くように拡張子選択の所を変更して下さい)
  3. 「テキストファイルウィザード1/3」で、「カンマやタブ等の区切り文字によってフィールド毎に区切られたデータ(D)」にチェック
    取り込み開始行:4
    「次へ」をクリック
  4. 「テキストファイルウィザード2/3」で、スペースにチェック。その他にチェックして「:」を入力
    第2-4フィールドが必要。
    「次へ」をクリック
  5. 「テキストファイルウィザード3/3」で、全て[G/標準]である事を一番下迄スクロールして確認して「完了」

今は解析条件より、反力はZ方向のみの和を取りますので、D列に注目します。

既にクリップボードにコピーしたデータをE1のセルに貼り付けます。

全行に渡り、D列とF列の積を計算して和を取るとZ方向の反力合計となります。即ち、G1に=D1*F1と記述します。

総節点数が21,027なので、一番下の行が21,027行です。節点番号は0始まりなので、最大節点番号は21,026です。G21028のセルに=sum(G1:G21027)と記述するとZ方向の反力合計が求まります。

-7.64e2

です。これは総荷重と等しい筈です。

仮に断面を半径5の真円と見做すと断面積は79.54mm2ですので、荷重強さ9.8N/mm2を掛けると769.7Nとなります。

断面を正36角形として計算します。正n角形の面積Snは、以下の式で表されます。

\(S_n = \frac { na^2}{4tan(\frac{\pi}{n})}\)

但し、
\(a =2Rsin (\frac{\pi}{n})\)

\(a =2Rsin (\frac{\pi}{n})=2 \times 5 sin(\frac{3.14}{36})=10 \times 0.0871 = 0.871\) \(S_n = \frac { 36 \times  0.871^2}{4tan(\frac{3.14}{36})}=\frac{27.3}{4 \times 0.0874}=78.1\)

面積は78.1mm2です。こちらから荷重を計算すると765Nとなります。誤差は(764-765)/765×100=-0.5%です。

それでは解析結果の精度を確認します。