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S1_003書評:例題で学ぶ連続体力学(その3)

読みながらの書評なので、まとまりの無い文章になってしまいますが、又少し読み進みました。

従来「応力ベクトル」と呼んでいた物を「応力テンソル」との対比で「一体応力はベクトルなのかテンソルなのかどっちなんだい」という迷いが有りましたが、この本の説明では「表面力ベクトル」という説明だったので明解に成りました。(2.1.1項)

棒の応力とコーシーの応力がどう整合が取れるのかの説明が2.2.3項に明解に繰り広げられてました。実は、弊社ソフトMeshman_主応力にはコーシー応力と棒の応力を対比する機能が有るのですが、それをどう説明するかについて考えあぐねていました。本書の説明で非常に良いヒントを頂きました。

力の状態を説明するのに、点に付随する物理量のみでは駄目だという説明が非常に良かったです。詰まり、点に現れる力のベクトルは無数に存在するので、力の状態を表す物理量としては、扱い難いのです。結局断面を使用するという事なので、先刻承知という感じですが、このように説明されると妙に納得します。

例題が実に具体的で良いです。例題3.1を自分でも実際に解いてみました。
例題が易しそうに見える為、答えを見る前に自力で解いてみようという意欲が湧いて来ます。
結局間違えましたが、解説も非常に丁寧であり、最後迄読む気力を維持する事が出来ました。

紹介して無い部分でも良さそうな部分が有りますが、未だ上っ面しか読めておらず、ちゃんとした評価が出来ません。ここで一旦書評は終了したいと思います。

S1_002書評:例題で学ぶ連続体力学(その2)

実際に本文を読み始めてみましたが、ユニークな点が幾つか見つかりました。

以下は気づいた順ですので、細かい話と大きな話が混ざってます。

  1. 物理→数学→物理の説明のストーリーを示してくれる
  2. 学習&理解に躓く理由を解説している
  3. 1次元での説明から入ってくれる
  4. ベクトルやテンソルのボールド(太字)標記の説明とその利点
  5. 指標標記(私は添え字という言い方を好むが)の説明とその利点の説明
  6. コーシーの応力原理の説明において力のモーメントが零になる事を丁寧に説明してある

続きます。

 

 

 

S1_001書評:例題で学ぶ連続体力学

良い本を教えて貰いました。
https://plaza.rakuten.co.jp/takupin/diary/201708230001/

出版されてすぐに気付かなかったのは迂闊でした。
早速購入し読み始めてます。

例題で学ぶ連続体力学,非線形CAE協会編,石井建樹,只野裕一,加藤準治,車谷麻緒 共著,2016/5,森北出版.

固体力学1級受験者の為の必読本だと思います。
現在たったの10頁しか読んでませんが、そう判断する理由を既に前書きに見つけました。

(1)これ迄世の中に無かった「連続体力学の独習書」を作成する事になった
(2)テンソルを扱いながらも、手計算できる具体的な例題を多数掲載
(3)著者らもそれ迄何となく理解していた内容を改めて学び直し、実際に手を動かす事の大切さを痛感した
(4)躓き易い内容や理解のポイント等、企業技術者からのアドバイスも多く取り入れている
(5)連続体力学さえ容易に学習出来るようになれば、高専を卒業した20歳程度の若い技術者も、その誠実さと若さをもって汎用プログラムを活用する事で、戦力として十分に活躍出来る

(ことさらに高専と言っているのは、前書きを書いた著者代表が高専の先生だからという要因が有ります。)

特に(5)に共感しました。この考え方は従来から私が主張している(ブログには初めて書くと思いますが)「固体力学のCAE技術者は詰め込み教育による促成栽培で養成すべきだ」という考え方と一致しています。固体力学のCAE技術者は経験のみでは育ちません。理論の理解が必須です。しかし20歳程度の高専卒技術者が容易に読みこなせる連続体力学の本は、皆無だったと思います。

誤解の無いように付け加えますが、有限要素法概略を実務者向けに分かり易く理解させる本は有りましたが、連続体力学に正面から向き合った本は、程度の差は有れ、どれも難解であったと思います。

この書評は続編も書いて行こうと思います。